僕の母の実家は福島県の白河というところで、居間からお風呂までの廊下が10数メートル以上、更にそこからトイレまでも8メートルはあったであ
ろう、それはそれは大きなお屋敷でした。
夏休みのお盆の頃になると親戚中が集まります。従兄弟だけでも10人以上です。
毎日従兄弟たちと大汗をかきながら楽しく遊び、おやつになるとおばあちゃんが、トウモロコシやスイカなど、更に練乳がたっぷり掛かったカキ氷を振舞ってくれました。
事件が起こったのはその日の晩のことです。俗にいう丑三つ時。
僕は二階の一番奥の部屋で父と眠りについていましたが突然目が覚めたのです。
部屋は真っ暗でしたが、かすかに外からの月明かりがあったのを記憶しています。
父も僕の異変を感じたのでしょう。
僕は何かに取り憑かれたようにゆっくりと階段を降り始め、廊下を小走りになりお風呂場を過ぎたあたりで、恐怖のあまり振り返りました。
夜中だというのに、大きな声で父がすごい形相で僕を睨みながら叫んだのです。
「浩志、どうせならまとめてしてくれー!!!!」
階段から廊下に点々と残る僕のそそうを拭きながら…。